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石戸奈々子
NPO法人CANVAS理事長 / 慶應義塾大学教授

“テグ”はイマジン(想像)したことを、リアライズ(創造)できる玩具。

子ども向けの創造・表現活動を推進するNPO法人「CANVAS」を設立し、代表をつとめる石戸奈々子さん。これまでに開催したワークショップは 3000回、約50万人の子どもたちが参加しています。石戸さんが考える「子どもたちの未来を創造する玩具」についてたずねました。

想像力と創造力が、子どもの未来のカギ

AI技術の到来でかつてないほど変化の激しい時代を迎えています。 どんな世の中になるのか答えは誰も分からないし、ひとつではないはず。これからの子どもたちは、自分たちで新しい仕事、生活、社会を創っていくことをより求められる世代といえます。そうでないとコンピューターやAIに使われる側の人になってしまう。

だからイマジン(想像)して、リアライズ(創造)する力がとても大切だと思います。

想像力とは、頭で考える、空想する、思い描く力。
「こんなものがあったらいいな」「こんなものを表現したいな」という力。創造力はというと、そのアイデアをカタチにして、実行する力です。

プログラミングやコンピューター、英語などはあくまでツール。
大切なのは、自分自身がそのツールを使って思い描いたビジョンを表現し、コンテンツを創り出していく実行力だと思います。

だからこそ、私は想像(イマジン)する力と創造(リアライズ)する両方の力が大切なのです。

シンプルなカタチから無限のカタチがつくれる魅力

そもそも私自身、小さい頃から積み木が大好きでした。
例えばCANVASのロゴは、○△□と、赤・青・黄色の組み合わせです。○△□の図形でハサミや定規、ノリといった道具のカタチをつくりました。3原色の組み合わせであらゆる色が表せます。

キャンバスのCI(Corporate Identity)は「未来をつくるお道具箱」

キャンバスのCI(Corporate Identity)動画


このように原理原則さえ知っていれば、可能性は無限大に広がっていくことを子どもたちに伝えたいと思っていて、ロゴ自体もそういう設計にしています。

私たちが開催するワークショップでは、子どもたちにできるだけ素材とツールだけを提供したいと考えています。プラモデルのように組み立てていってゴールするのではなく、そこか ら何を作るかは子どもたちが自由にできるようにしたいと、いつも思っています。

シンプルなカタチから無限のカタチがつくれる魅力

「テグ」の面白さというのは、磁石が入っていることですよね。
魅力的と感じた点は、既存の積み木で、パッケージにあるような恐竜を作ろうと思ったら、とても難しいわけです。

構造や組み合わせを一生懸命考えないと、このかたちに行き着かない。でも磁石でくっつくから、構造的なことをそんなに考えなくても、イマジンしたことをリアライズしやすいんです。

構造的なことを学んでいくことの価値もあると思いますが、そこでつまずいちゃう子もいる。そういうとき、こういうカタチがいいなぁと想像したら、迷いなく実現できることが、すごく面白いとまず思いました。

子どもの創造性を広げ、育てるコツ

遊び方次第でいろいろな使い方ができるモノが、私はクリエィティブな玩具だと思っています。子ども自身が自然に遊び方を見つけるので、出来るだけその可能性に富んでいるものがいい。子どもは言われた通りには遊ばないですよ(笑)。

普通の積み木じゃない、テグだからでこそきるこのカタチを、「不思議だな」「面白いな」と思えることが、大切なのかなと思います。
「落ちちゃうはずじゃん、でも落ちないよコレ!」という発見ですね。

そうやって、日常的に何かモノを創り続け、発見してきた子は「自分はできるんだ」「楽しい!」という思考が身について、新たにモノを創ることに躊躇しなくなります。

未来を生きる子どもたちの創造性を育む上で、手足を動かして思考を身体化する「モノ創り」は忘れてはならない大事なポイントです。